「何かあったわけじゃない」でも、心が限界かもしれないあなたへ

はじめまして。
弁護士の石井 政成(いしい まさなり)と申します。
この度は、数あるブログの中から、こちらへお越しいただき、本当にありがとうございます。
このブログにたどり着いたあなたは、もしかしたら今、言葉にするのが難しい、漠然とした「しんどさ」を抱えているかもしれません。
- 夫にDVや借金があるわけじゃない。
- 決定的な不倫があったわけでもない。
- 周りから見れば、穏やかで安定した毎日。
それなのに、なぜか心が晴れない。ふとした瞬間に、深い孤独を感じる。
朝、目が覚めても心が重たい。食卓での会話もなく、ただ時間だけが過ぎていく。
毎日繰り返される家事や気遣いは、誰に感謝されるわけでもなく、当たり前のこととして流れていく……。
そんな日々の積み重ねの中で、「私、何のために頑張っているんだろう」「このままで、私の人生、いいのかな」という思いが、ふと頭をよぎる。
「離婚」という言葉が浮かぶこともあるけれど、「こんな曖昧な理由で別れたいなんて、私がわがままなだけ?」「私さえ我慢すれば、波風は立たないのに」と、自分を責めてしまう。
こんな「しんどさ」に名前をつけられず、誰にも打ち明けられず、一人で抱え込んでしまっていませんか。

このブログは、そんなあなたが、少しだけ立ち止まって自分の気持ちと向き合うための場所になれればという想いを込めて書き始めました。
すぐに「離婚すべきか、すべきでないか」という答えを出す場所ではありません。
法律的な手続きの話を一方的にする場所でもありません。
まずは、あなたがこれまで誰にも言えずに胸の内に溜め込んできた、その言葉にならない想いや、「なんだかもう限界かもしれない」という感覚に、そっと耳を傾けたいと思っています。
そして、この記事では、私がなぜこのブログを始めようと思ったのか、その背景にある想いについてお話しさせていただきたいと思っています。
ですので、もし、「今すぐ離婚に関する法的な情報が欲しい」「具体的な解決策を知りたい」という場合は、他のカテゴリーの記事や解説ページをお読みいただく方が、ご希望に沿えるかと思います。
もし、私がどんな想いでこのブログを運営しているのか、その背景に少しでも興味を持っていただけるようでしたら、もう少しだけ、このままお付き合いいただけると嬉しいです。
1 弁護士石井政成の簡単な経歴と、弁護士として大切にしていること
改めまして、弁護士の石井政成です。
ここでは、私がどんな人間で、なぜこのブログを書いているのか、少しだけ自己紹介をさせてください。
私がどんな想いで皆さんの声に耳を傾けたいと思っているのか、その背景を知っていただけたら嬉しいです。
まずは、簡単な経歴です。
年/時期 | 内容 |
---|---|
2013年 | 中央大学総合政策学部 卒業 |
2018年 | 司法試験合格 |
2019年 | 第二東京弁護士会 登録 |
現在 | 石井・竹口法律事務所 所属 |
弁護士として歩み始めてから、本当に多くの方々のご相談に触れてきました。
その中で痛感しているのは、特に夫婦関係や家族の問題においては、法律だけでは測れない「目に見えない心の痛み」がいかに深いか、ということです。
だからこそ、今の私が弁護士として何よりも大切にしているのは、法律の知識を駆使することだけではなく、「傷ついた心に、そっと寄り添う」ことです。

ただ、「寄り添う」と言っても、具体的にどういうことか分かりにくいですよね。
- ただ話を聞くだけでなく、あなたが言葉にできない想いや、心の奥にある本当の声に、一緒に耳を澄ませること。
- 法律的な正しさや一般論を押し付けるのではなく、あなたの気持ちを尊重しながら、「あなたにとって」一番良いと思える道を、共に探していくこと。
- 時には、法律的な解決だけが全てではない、という視点も持ちながら、あなたの心が少しでも軽くなるような選択肢を一緒に考えること。
そういった姿勢で、あなたと向き合いたいと思っています。
でも、正直に言うと、最初からこんな風に考えていたわけではありません。
弁護士になりたての頃の私は、「法律という武器を正しく使って、依頼者に“結果”を出すこと」ばかり考えていました。

依頼者の感情より、法的な損得。どれだけ利益を守れるか。それがすべてだと、そう思っていたんです。
そんな私が、なぜ「寄り添う」ことを何よりも大切にするようになったのか。
それは、教科書や法律書からだけでは決して学べなかった、多くのご相談者の方々の「声にならない声」に触れてきたからです。そして、ある一人の女性との出会いが、私の考え方を大きく変えるきっかけとなりました。
そのお話については、次で詳しくお話しさせてください。
2 かつての自分と、ある出会い
弁護士になって数年が経った頃、当時の私は、あらゆる分野の案件をとにかく一生懸命こなす日々でした。
企業法務、交通事故、相続…そして、もちろん離婚のご相談も。
当時の私が離婚相談と聞いてイメージしていたのは、やはり「明確な原因」があるケースでした。
暴力や借金、決定的な不倫…。


そういうものを法律という物差しで、どちらにどれだけ「権利」があり、「責任」があるのかを判断し、依頼者の利益を守ることが弁護士の仕事だ。
と、どこか「問題点を整理して、解決策を提示する」という、少しドライな視点で見ていました。
そんなある日、私の考えを大きく揺さぶる出会いがありました。
それは、春の終わり頃にご相談に来られた、50代の女性、Aさんとの出会いです。
相談室に入ってきたAさんは、とても穏やかな雰囲気の方でした。
結婚生活は26年、お子さんも大学生になり、ご主人との二人暮らし。
お話を伺っても、ご主人に大きな非があるわけではない、むしろ、周りから見れば「円満なご家庭」そのものです。
「それでは、今日はどのようなご相談なのでしょうか?」と私が切り出すと、Aさんは少し俯きながら、ぽつりと言いました。

何かあったわけじゃないんです。ほんとに。ただ、最近ずっと…疲れていて
正直、戸惑いました。
「何かあったわけじゃない…?」 それで離婚相談に? 頭の中には「?」が浮かびます。
法律上の離婚原因になるような、具体的な「何か」を探そうとしてしまう自分がいました。
でも、Aさんは続けます。
結婚してからずっと、夫や子供のために生きてきた気がします。
自分のことはいつも後回し。
『私さえ我慢すれば、うまくいく』って、ずっと思ってきました。
子どもが巣立ち、夫婦二人の生活になったとき、ふいに襲ってきた虚無感。
「私、この先、誰のために生きるんだろう?」そう思ったら、朝起きるのも辛くなり、食欲もなくなりました。
それでも、Aさんははっきり「離婚したい」と言葉にするわけではありません。
「こんなことで悩むなんて、贅沢なんでしょうか…」「夫に悪いとは思っているんです…」と、ご自身を責めるような言葉も口にします。
その姿を見て、私はハッとしました。
これまで自分が拠り所にしてきた「法律」や「正論」だけでは、彼女の苦しみに全く手が届かない。

むしろ、「具体的な問題がないなら大丈夫でしょう」という無言の圧力が、彼女をさらに追い詰めていたのかもしれない、、、
「何も問題がないように見える家庭」の中で、こんなにも深く、静かに心が蝕まれていく人がいる。
その事実に、胸が締め付けられる思いでした。
私は、ただ静かに、Aさんの言葉に耳を傾け続けました。
「何も望んではいけない」と思い込んでしまった、その背景にある長い長い時間に、想いを馳せながら。
しばらくして、Aさんがふっと顔を上げて言いました。

私は“離婚したい”んじゃない。ただ、“自分の人生を取り戻したい”だけなんです。
その言葉は、ストン、と私の胸に落ちてきました。
そうだ、彼女に必要なのは、法律的な勝ち負けじゃない。
自分の気持ちを肯定され、自分の人生を選び直す勇気なんだ、と。
思わず、私はこう伝えていました。
「それは、立派な理由になりますよ。自分の幸せを願うことは、誰にも遠慮することじゃありません」
その瞬間、Aさんの目から、ふっと涙がこぼれ落ちました。
「そんな風に言ってくれる人、いなかった…」
Aさんの涙を見て、私は心に決めました。
弁護士として、「我慢を前提にした幸せ」の話ばかりするのはやめようと。
法律という武器の使い方だけでなく、傷ついた心にそっと寄り添うこと。
「あなたの気持ちは、大切にしていいんですよ」と伝え続けること。
それこそが、今の自分にできる、最も大切な役割なのではないかと。
Aさんはその後、すぐに離婚を選んだわけではありません。
でも、パートを始めたり、自分の好きな時間を持ったりと、少しずつ「自分のための人生」を取り戻すための一歩を踏み出されました。
数ヶ月後、「ようやく、私にも選んでいい未来があるって思えるようになりました」と報告に来てくれた時の、晴れやかな表情は忘れられません。
この経験から、私は法律相談のあり方そのものを見直したいと思うようになりました。
「離婚するか、しないか」という二択だけでなく、もっと手前の段階で、「誰かに話を聞いてほしい」「自分の気持ちを整理したい」「これからの選択肢を知りたい」…そんな“心の置き場所”として、弁護士をもっと気軽に頼れる存在にできないかと思い、このブログを始めました。
3 さいごにあなたに伝えたいこと
もしあなたが、かつてのAさんと同じように、「何かあったわけじゃない」けれど、言いようのない息苦しさや限界を感じているなら、どうか一人で抱え込まないでください。
- 私が我慢すれば・・・
- これくらいで辛いなんて、贅沢かも・・・
- 離婚するほどの理由じゃないし・・・
そんな風に、自分の気持ちに蓋をしてしまう前に、一度お話ししてみませんか?
あなたの心の中にある「本当の声」に気づき、あなたらしい未来を選び直すためのお手伝いができれば、これ以上の喜びはありません。
最後までお読みいただきありがとうございました。