不貞行為(不倫)かどうかわからない場合でも離婚できるの?

離婚原因
不倫かどうか明確にわからない時に離婚ができるのか

不倫かどうか明確にわからない時に離婚ができるのか

記事作成者 弁護士石井政成

1.はじめに

 配偶者と知らない異性との間で親密なメッセージのやり取りがされているのを見たり、2人の目撃情報があったりする場合、不倫を疑いませんか?
 しかし、それだけでは不倫であるかどうかが明確ではありません。また、不倫があったことが疑われているにもかかわらず本人が認めないこともあります。

 このような場合、裁判を提起したとしても不貞行為の存在を立証することができず、離婚できないようにも思われます。

 しかしながら、不貞行為そのものがなくても、配偶者の不適切な行為によって離婚できることがあります。

 このように、法律上、離婚原因としての不貞行為(不倫)の証拠が無い場合であっても、行為によっては、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして離婚が認められることがあるのです。

 以下、不倫とは認められないかもしれないという類型についてフォーカスを宛てて離婚ができるかについて検討します。

2.性風俗の場合

 性風俗を利用している場合、恋愛感情が無さそうです。そのため、特定の相手と親密な関係を持つ場合と比較すれば離婚ができないと捉えられる傾向があるように思われます。

 たとえば、夫がデリバリーヘルスの性的サービスを1回受けたが発覚当初から妻に謝罪し、今後利用しないと約束したという事案があります。
 裁判所はこの点のみをもって、離婚事由に当たるまでの不貞行為があったとは評価できないと判断しております(横浜家裁平成31年3月27日)。
 この事案の場合、謝罪の上、今後利用しないという約束をしてそれを妻側が受け入れていたという事情が大きいのではないかと思われます。

 次に、夫が風俗店を利用し、その後店舗外においても同店の従業員と性行為を行ったという事案において、対価を支払って行われたものであるとしても夫が相手に好意を持っていたことを指摘して不倫であると判断した裁判例(東京地裁判決平成27年7月27日)があります。
 この事案は、性風俗の利用を積極的に行い、好意を持っていたと思われる状況が強くなっているのではないかと思われます。

 さらに、妻が内緒で風俗店に勤務して不特定多数の男性客に対して性交類似行為を行ったという事案はどうでしょうか。この場合、不貞行為の該当性の有無に関係なく夫婦間の婚姻共同生活の平和を害するとして不倫を認めた裁判例(東京地裁判決平成28年3月28日)があります。
 これは、性風俗の勤務を夫に内証で行ったことにより、夫婦の愛を冷まさせる行為をしたのであるといえます。 

 これらから、性風俗を利用した側については、複数回の利用で不倫であると考える傾向が強いのではないかと思われます。

3.同性愛の場合

 同性愛であれば、夫婦関係を悪くすることは無いとする考えもあるかもしれません。

 もっとも、昔の裁判例(名古屋地裁昭和47年2月29日)を見ると、夫が同性愛者であり別の男性と性的関係を持っていたという事案があります。

 この事案では、裁判所は夫と妻との間の性交渉が数年間耐えていたことなどを指摘して、離婚をすることを認めるという判断をしました。

 裁判所は、夫婦関係を悪くする行為全般で離婚を認めさせる事由にするのではないかと考えられます。このケースでは、同性愛により、夫婦間の愛を冷ますという行為にするということに違いは無いことから、離婚を認めたのではないかと思われます。

 LGBTQなど多様な性的傾向の存在が認知された現在においては、次に同様の事案が発生したときに裁判所は同性愛の場合も離婚を広く認める可能性があります。

4.性的関係を伴わない場合

 よくあるケースかとは思いますが、怪しい証拠はたくさんあるが、性的関係がわかる証拠までは存在しないものとなります。このようなケースはどうでしょうか。

 夫が現在の妻の意思を無視して前妻宅を何度も訪問し、また、前妻と宿泊を伴う旅行を繰り返したというケースがあります。その理由として前妻との間の子と面会交流するためであったためであるとのことです。

 明らかに怪しいですが、性的な関係があるということが証拠はありません。

 このような場合、裁判所は不倫に当たると判断して、慰謝料を認めました(東京地裁判決平成27年10月22日)。

 ここから、性的関係があるかどうかについての証拠が無くても、夫婦の愛を冷まさせる行為をしたのであろうという行為をしていれば、不倫に該当すると判断したのではないかといえます。

5.証拠収集の方法

 怪しいと考えた時、どのようにして証拠を収集すればいいでしょうか。

 不倫の証拠として重要なものとしては、性行為をしているということがわかるような資料を集めることが目標となります。

 そのため、興信所(探偵)の調査によるラブホテルや不倫相手宅へ入る写真、動画などのほか、いかがわしい内容が記載している手紙やメール、LINEなどのメッセージ、ホテルの領収書などがあります。

 興信所(探偵)の調査結果はまさに不貞行為の立証を目的として資料を作成するものであるため、それで十分とは限りませんが一般的に証拠としての有用性は高いといえます。

 最近はスマートフォンで手軽に撮影できることもあり、配偶者自らが証拠写真などを保存していることもあります。

 また、決定的な証拠が見つからない場合であっても不貞行為の存在をうかがわせるようなメールやメッセージのやり取りがある場合でも証拠になりえます。

 これらの証拠を相手にわからないうちに集めるのが重要になってくるといえます。

6 最後に

  不倫になるかどうかわからないような事例についてみてきましたがいかがでしたでしょうか?
  不倫等で悩んでいる方は弁護士に相談をすると、その悩みが解決できるかもしれません。
 一度ご連絡をするのはいかがでしょうか?

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