暴力を受けて離婚を決意したものの、離婚までの手続はどうすればいいの?
弁護士の石井と申します。
年間、100件以上離婚についての相談を受けております。
相談の中で、やはり暴力を受けた、受けているという方が多数いらっしゃいます。そこで、暴力を受けて離婚を考えている方のエピソードを交えて、どのようにして離婚をするのかについて検討していきます。
夫による暴力
20代半ばで結婚した美和さん(仮名)は、最初は幸せな家庭を築いていると思っておりました。夫の康さん(仮名)とは出会いも自然で、すぐに意気投合し結婚に至りました。最初の数年間は順風満帆で、子供も授かりました。
美和さんは働いておりました。しかし、康さんが美和さんに対して専業主婦になってほしい、仕事をしないでほしいと美和さんにお願いをしました。そのため、美和さんは康さんがどうしてもというので、専業主婦として家族のために全力を尽くすようになりました。
しかし、結婚から5年が経った頃から、康さんの態度が徐々に変わり始めました。仕事のストレスからか、理由はわかりませんが、些細なことで怒鳴るようになったのです。
そして、ついには美和さんに対して手を上げることも増えていきました。
最初は美和さん自身が何か悪かったのかと自問自答し、康さんの機嫌を伺いながら生活するようになっていきました。
しかし、康さんの暴力は次第にエスカレートし、美和さんだけでなく子供たちにも影響を与えるようになっていきました。美和さんは子供のために耐えようとしましたが、子供の笑顔が失われるのを見て、次第に心が痛むようになっていくのでした。
ある日、康さんの暴力が激しさを増し、美和さんはついに意識を失うほどの怪我を負うに至りました。子供たちの泣き叫ぶ声で目を覚ました美和さんは、このままではいけないと強く感じたのです。その夜、美和さんは自分が強くならなければならないと決意したのでした。
翌日、美和さんはインターネットで弁護士を探して、弁護士に相談することにしました。
初めての相談では、不安と恐怖で声が震えたが、弁護士は優しく話を聞いてくれ、具体的なアドバイスをしてくれました。弁護士からのサポートを得て、必要な手続きを踏む準備を進めていきました。
必要な手続
三輪さんが弁護士から受けたアドバイスは以下のものでした。
早期の別居
弁護士からは、「このままではあなたと子供の命が心配です。実家に避難するか、シェルターを利用することを検討した上で、すぐに別居をしてください。」とアドバイスを受けました。
多くの方は、何も言わずに夫婦なのに別居をしても良いのかと不安になる方が多いです。しかし、夫婦の同居義務についてはあくまで努力義務であり、自分や子供の生命よりも優先されるものではありません。そのため、別居をすることは何ら問題ないのです。
証拠の収集
「康さんから受けた暴力や精神的DVの証拠はありますか?これには、医師の診断書、怪我の写真、暴力が行われた日時や状況を記録したメモ、脅迫のラインが含まれます。これらは離婚手続きや子供たちの保護に非常に重要です。」
暴力はそれ自体離婚の原因となる、有責性が強いものです。そのため、暴力があれば離婚も認められやすく、また慰謝料請求も可能です。しかし、暴力があったことそれ自体の証拠を準備しなければ、それが認められないことがあります。そのため、精神的に辛い状況ではありますが、証拠を準備しておく必要があります。
暴力の程度としては色々なものがあるかと思います。多くの場合、明確な身体的暴力があるだけではなく、精神的な虐待や経済的な虐待が伴うことが多いです。それらについても証拠として準備しておくことが重要となります。暴力や精神的虐待を直接証明する証拠がなくても、供述の信用性を勝ち取ることで、暴力等を立証することができる可能性があります。
離婚の手続について
「離婚を進めるためには、別居後に相手に離婚をしたい旨を伝える必要があります。もしご自身で連絡をすることが難しいのであれば、弁護士を通して離婚をしたい旨を連絡します。相手と話がうまくいかない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。私はその手続きをサポートします。」
離婚をするには、離婚協議や離婚調停をして、相手と離婚ができるように話し合っていく必要があります。具体的なフローは下記の通りとなります。
ご自身で離婚手続をすることができないのであれば、弁護士を利用することをオススメいたします。
弁護士を利用することは費用がかかるということについて心配になる方も多いですが、最終的には弁護士を入れた方が精神的な負担の軽減と取得できる財産の価値の観点から、有利になることが多いです。
生活費の確保
「生活費を確保するために、婚姻費用の請求をしましょう。裁判所の運用から、内容証明郵便で請求をするだけでは足りない可能性があります。早急に婚姻費用の調停を申立てましょう。」
別居した場合、生活費が足りるのかどうかについて不安になり、別居ができないと考える方も多いかもしれません。もっとも、別居後は、収入が低い方は、収入が多い方に対して生活費の請求をすることができます。そのため、生活費をもらうことで、一定の生活が可能です。
その後
弁護士のアドバイスを受けた美和さんは、少しずつ希望を取り戻し、具体的な行動に移す決意を固めました。証拠を集め、実家へ移住する準備をし、弁護士を通した離婚手続きを進めていくこととなりました。
別居してからは、今まで美和さんの頭にあった’もや’のようなものがなくなり、人生が美しくなっていきました。また仕事も開始し、美和さんがやりたいことをどんどんできるようになっていったのです。
現在、弁護士に離婚調停を進めてもらっていることで、精神的な負担が少なく、人生が輝いているようです。
最後に
暴力があった場合の事例を、実際にあったかのように記載しましたがいかがでしたでしょうか?暴力等で悩んでいる方は弁護士に相談をすると、その悩みが解決できるかもしれません。
一度ご連絡をするのはいかがでしょうか?
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