相手が離婚に同意しなくても離婚できるの?
アメリカ合衆国のように比較的離婚しやすい国もあれば、フィリピン共和国のように離婚を一切認めていない国もあります。
日本では、夫婦双方による合意があれば簡単な手続きで離婚することができます。
しかし、一方の意思のみで離婚するためには一定の条件を満たしていなければならないとされています。
そのような点で、離婚のしやすさは中間的な国であるということができるでしょう。
では、法律上一方的に離婚ができるとしているのはどのようなものでしょうか?
記事作成者 弁護士石井政成
民法上の離婚事由
民法に列挙された次の状況が離婚するために必要な条件となります。
このような事情があれば相手の同意がなくても一方的に離婚することができます。
1.不貞行為
日常用語でいう「不倫」のことであり、配偶者以外の異性と性交した場合を意味します。
古い言い方ですが、夫婦には貞操を守る義務があるというのが法律の考え方です。
一夫一妻制の本質ですから、貞操義務に違反した場合には離婚されてもしかたがないというわけです。
性行為さえしなければ許される?
いわゆる性行為に至らなくともそれに近い性的行為があった場合、貞操義務に反していると言えることもありますので、「不貞」とされる可能性はあります。
また、いろいろな事情が重なって後ほど説明する「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるとみなされる可能性もありますので、性行為しなければいいというわけではありません。
不貞行為の証拠さえつかめば十分?
夫婦関係が破綻しているからこそ離婚を認めるべきだというのが法の立場ですから、不貞行為があっても夫婦円満なら離婚せずにそのまま一緒にいさせた方がいいのではないかと思われることもあります。
そこで、不貞行為を理由として離婚するためには、不貞行為があったことだけではなくそれによって婚姻関係が破綻したことも証明すべきであるという考え方があります。
しかし、一般的にはそのような考え方は採用されておらず、不貞行為の証拠さえ提出すれば離婚原因として認められています。
夫婦関係が破綻した後の不貞行為は離婚原因にならない?
不貞行為によって夫婦関係が破綻したからこそ離婚を認めるべきであるということからすると、夫婦関係が破綻した後にされた不貞行為は離婚原因としての不貞行為とはいえません。
また、婚姻前には貞操義務は発生しませんから、婚姻前の不貞行為も離婚原因には当たりません。
不貞行為をされても一度許したら離婚原因として主張できなくなる?
明治時代に制定された民法では、一度相手の不貞行為を許したら同一の不貞行為を理由として離婚することはできないとされていました。
しかし、現行民法ではその規定は削除され、いったん許したとしても後で離婚原因として主張することはできるようになっております。
2.悪意の遺棄
夫婦は同居して生活を共にし、相互に助け合うべきであるというのが法の立場です。
したがって、配偶者を保護されない場所に移したり、置き去りにするという行為は「悪意の遺棄」として離婚原因となります。
最も典型的な例は家出です。
生活費を渡していても正当な理由なく帰宅しなければ「悪意の遺棄」に当たるとした裁判例もあります(大審院明治33年11月6日)。
3.3年以上の生死不明
3年以上も生死不明となると夫婦関係の解消を認めるべきであるという趣旨で離婚原因として挙げられています。
生死不明となった原因は問いません。
戦争中に生死不明となったという事例が多く、終戦時満州にいた夫が生死不明となったがその原因は不明であるという事件で離婚を認めた裁判例(大阪地裁昭和26年2月24日)などがあります。
4.強度の精神病
配偶者が強度の精神病にり患した場合には夫婦としての協力義務を果たすことができず、共同生活を送ることもできないから、離婚原因として定められたと言われています。
もっとも、裁判例をみるとたとえば
「単に夫婦の一方が不治の精神病にかかった一事をもって直ちに離婚を理由ありとするものではない。精神病離婚を容認するのは、婚姻の本質と背反する状況が続く場合に、他方の配偶者を婚姻関係から解放し、新たな人生の道を選択する可能性を付与するところにあるのであり、ともに高齢化し、互いに介護・協力をなし得ない状況となるなど、夫婦の協力義務自体が希薄化しているような状況にあっては、先に見当識の障害、記銘力の低下等に陥った者を、介護の重圧等の特段の支障があるわけでもないのに、一方的に離婚することまでを許容するものではない。その意味では、単に4号に該当するというだけでなく、そのような状況に陥ったことを契機として、婚姻関係の継続が困難となったと言い得るような事態に立ち至っていることが必要であるというべきである。同条2項には、そのような趣旨が含まれているものと解するのが相当である。」(大阪高裁平成17年10月27日)
と述べているものがあります。
配偶者が精神病になったからという事実だけで離婚を認めてしまうと、単に相手を見捨てるような状況も容認することになってしまいかねませんから、妥当な判決といえるでしょう。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由
以上列挙してきた事情にそのまま当てはまらない場合であっても、夫婦生活を継続させることが妥当でないと言えるようなよほどの事情がある場合には離婚が認められることになっています。
一般的な基準を示すことは困難ですが、たとえば以下のような事情があってあまりにひどいという場合に離婚が認められることがあります。様々な観点を総合考慮して決めますので、これらの事情があればあるだけ、離婚をすることが認められやすくなります。
- ⓵不貞行為類似のもの
- ②暴力
- ③虐待
- ④性格の不一致
- ⑤暴言
- ⑥モラハラ
- ⑦浪費
- ⑧経済的DV
- ⑨姑問題
- ⑩勤労意欲の欠如
- ⑪宗教活動
- ⑫セックスレス
- ⑬疾病
- ⑭アルコール依存症
- ⑮犯罪行為
- ⑯別居
最後に
離婚事由についてみてきましたがいかがでしたでしょうか?
離婚について悩んでいる方は弁護士に相談をすると、その悩みが解決できるかもしれません。
一度ご連絡をするのはいかがでしょうか?
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