「何も起きていない」ことが、一番の地獄かもしれない
弁護士の石井です。
私はこれまで、泥沼の離婚裁判から、表面上は穏やかな話し合いまで、本当に数多くの案件を見てきました。
その経験の中で、一つ、痛烈に気づかされたことがあります。
それは、暴力や借金といった「誰が見ても決定的な理由」があるケースよりも、「特段なにもないけれど、なぜか息ができないほど辛い」という悩みを抱えている人の方が、遥かに深い悩みを抱えているということです。
・暴力もない。借金もない。不倫もたぶんない。それなのに、なぜか毎日が息苦しい。
こういうご相談は、実はとても多いです。
大きな事件がないからこそ、周りに言えない。
言葉にしようとすると、自分で自分を責めてしまう。

これくらいで弱音を吐くなんて、私がわがままなだけ?
と、自分自身を尋問するように責め続けてしまう。
20年、30年という長い歳月。
その中で積み重なった「無視」「無関心」「軽視」。
これらは、目に見えるアザこそ残しませんが、あなたの自尊心をボコボコに殴り、女性としての喜びを搾取してきました。
それは、「真綿で首を絞める」ような、しかし確実な精神的虐待と言っても過言ではありません。
あなたが感じているその息苦しさは、あなたの忍耐力が足りないせいではありません。
それは、「妻はこうあるべき」「母なら我慢すべき」という、社会や家庭環境から刷り込まれた洗脳が、あなたの正常な感覚を麻痺させているだけなのです。

あなたは理想的な家庭という幻想に縛られた被害者なのです。
これからお話しするのは、無機質な裁判所の統計データではありません。
私が現場で、涙を流す女性たちの「生の声」から抽出した、どこよりもリアルな真実です。
この記事では、40代・50代の女性が「もう限界かもしれない」と感じてしまう、言葉にしづらいけれど、とても根深い「5つの離婚原因」について、深く掘り下げていきます。
あなたと同じように、誰にも言えない想いを抱えた女性たちの心の声に耳を傾けてみてください。
離婚原因の統計で、常にトップに挙げられる「性格の不一致」。
裁判所の司法統計(令和5年)でも、離婚調停を申し立てた動機の第1位は、男女ともに「性格が合わない」でした。

出典:裁判所 司法統計 令和5年度 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 を元に作成
こうして数字を見ると、どこにでもある理由のように思えるかもしれません。
しかし、この言葉の裏には、長い年月をかけて積もり重なった深い諦めと心の痛みが隠れています。
「性格の不一致」とは、ただ気が合わないという話ではありません。
若い頃は「ちょっと変わってて面白い」と思えたパートナーの頑固さも、20年経てば「人の話を一切聞かない独善性」に変わる。
価値観の違いを乗り越えるのが夫婦だと思っていたけれど、いつしか会話をすること自体を諦めてしまった。

身に覚えはありませんか?
それは決して一夜で起きることではなく、心の温度が少しずつ下がっていく、関係がゆっくりと息絶えていくのです。
人生観や価値観、ものの見方が、もう決して交わらない地点に来てしまった。
その深い実感が、「性格の不一致」です。
私も多くのご相談を受けてきましたが、最も多いのはやはりこの「性格の不一致」。
ここで、実際にご相談いただいた方のケースをご紹介します。
もちろん特定されないよう、一部の情報を調整しています。
美紀さん(47歳)― 人を見下す夫に、心が冷え切った日
夫の達也とは、同じ会社で出会いました。
野心的で、常に上を目指す彼を、私は眩しく感じていました。
「成功して、いい暮らしをしよう」それが私たちの合言葉でした。
事実、夫は出世し、私たちは都心のタワーマンションに住み、誰もが羨むような生活を手に入れました。

私の心に変化が訪れたのは、数年前、長年の友人を病気で亡くしたことがきっかけでした。
人の命の儚さを知り、これまで追い求めてきた「モノ」や「ステータス」が、急に色褪せて見えたのです。
私は地域のボランティア活動に参加するようになり、ささやかでも誰かの役に立つことに、新しい喜びを見出すようになりました。
しかし、夫はそんな私を理解できませんでした。

暇人のやることだ、そんなことして、1円の得にもならないだろう

と、私の活動を鼻で笑うのです。
彼にとって、価値の尺度は「金になるか、ならないか」「自分のステータスが上がるか、下がるか」だけ。
そのものさしは、20年前から少しも変わっていませんでした。
決定的な出来事が起きたのは、ある週末のレストランでのことでした。
若い店員さんが、少しだけオーダーを間違えてしまったのです。
それは誰にでもある、些細なミスでした。
しかし夫は、その店員さんを大声で呼びつけ、「こんなレベルのサービスで金取るの?」と、周りの客が振り返るほど、執拗に、そして見下すような口調で叱責し始めたのです。

私は恥ずかしさと申し訳なさで、顔から火が出るようでした。
「もうやめて」と小声で制する私に、夫は「甘やかすからダメなんだ。こういう奴らには、きっちり教えてやらないと」と得意げに言いました。
その顔は、私がかつて尊敬した野心的な男性の顔ではありませんでした。
ただ、自分より弱い立場の人間をいたぶって、優越感に浸っている、とても小さくて、卑しい人に見えました。
その瞬間、私の心の中で、何かが完全に死にました。
ああ、この人は、変わってしまったんじゃない。
元々こういう人だったんだ。
私が、彼の「成功」という光に目がくらんで、その本質を見ていなかっただけなんだ、と。
お金や地位じゃない。
人として、どう生きるか。困っている人に手を差し伸べられるか。
過ちを犯した人を、許すことができるか。
私がこれから大切にしたい価値観と、夫の価値観は、もう決して交わることはない。そう確信しました。
この人とこれ以上一緒にいたら、私の心まで腐ってしまう。
人としての尊厳を失ってしまう。

離婚したいと思ったのは、夫が嫌いになったからではありません。
私が、「人として尊敬できない人間」と、人生を共にすることが、どうしても耐えられなかったからです。
離婚原因第2位:精神的な虐待(モラハラ)
・お前は本当にダメだな
・そんなこともわからないのか
・誰のおかげで生活できてると思ってるんだ

そんな言葉で、毎日心を切りつけられていませんか?
殴られたり、蹴られたりするわけではない。
でも、人格を否定するような暴言、見下した態度、わざとらしい無視、不機嫌なオーラで相手を支配する。
これらはすべて「モラルハラスメント(モラハラ)」という、立派な精神的虐待です。
モラハラ加害者は、外面が良いことが多いのが特徴です。
だから、周りに相談しても「あんなに優しそうな旦那さんが?」「考えすぎじゃない?」と信じてもらえず、さらに孤立していきます。

私が我慢すればいいんだ
と自分を責め続けてしまうのです。
モラハラの記事は以下でも詳しくまとめているので、興味がある方はご覧ください。
弁護士として多く見てきたモラハラのケースの中でも、特に巧妙で、被害者が追い詰められやすい典型的な事例として、由美さんのお話を紹介します。
【ケース】由美さん(42歳)― 夫の「正論」という名の支配
夫はエリート銀行員で、誰からも「知的で優しいご主人」だと思われています。
でも、家のドアを閉めた瞬間、彼はまるで裁判官のように私を断罪します。
私が作る食事には

栄養バランスが偏っている

子どもの教育方針には

君のやり方は非効率的だ
私がパート先での愚痴をこぼせば

問題解決能力が低いから、そんなことで悩むんだ
と、すべてを冷徹に論破してきます。
彼の言葉は、いつも「正論」です。
反論しようとしても、理詰めで追い詰められ、最後には私が「ごめんなさい」と謝るしかなくなります。
彼は決して怒鳴りません。
ただ、冷たい目で私を見下し、「君のために、教えてあげているんだ」と言うのです。
いつしか私は、夫の前で自分の意見を言うことをやめました。
何を言っても否定されるから。
何を着るか、何を買うか、誰と会うか。
すべてを夫に「報告」し、「許可」を得るようになりました。
「夫の言う通りにしていれば、間違いはない」と、自分に言い聞かせて。
私は、夫の操り人形になっていたのです。

ある日、娘が熱を出しました。
私はかかりつけの小児科に連れて行こうとしましたが、夫は

ネットの医療情報によれば、その症状はただの風邪だ。
医者に行くのはリソースの無駄だ。
と許してくれませんでした。
私は逆らえず、一晩様子を見ましたが、翌朝、娘はぐったりして痙攣を起こしました。
救急車で運ばれ、診断は「肺炎」。
もう少し遅ければ危なかった、と医師に言われました。
病室で眠る娘の小さな手を見ながら、私は全身が震えるほどの怒りと後悔に襲われました。
私は何をしていたんだろう。

夫の「正論」を信じて、この子を危険に晒してしまった。
夫が怖いから、母親として当たり前の判断さえできなかった。
もう、夫の言いなりにはならない。
この人の支配から、この子と私自身を解放しなければと強く思いました。
離婚原因第3位:経済的な問題(経済的DV)
・専業主婦なんだから、自由になるお金がなくて当たり前
・家計は俺が管理する。お前は口を出すな
・誰のお金で生活してると思ってるんだ
生活費を十分に渡さない、家計を一切開示しない、妻が働くことを認めない、妻の稼いだお金を取り上げる。
これらは「経済的DV」と呼ばれる行為です。
これもまた、モラハラの一種とされています。
お金は、生活の基盤であり、精神的な自由の源でもあります。
お金の流れを一方的に支配されることは、あなたの行動や心を縛り付け、無力感に陥らせます。
夫がいなければ生きていけないと思い込まされ、不満があっても声を上げることができなくなってしまうのです。

実際にご相談いただいた事例として、聡子さんの体験をお話しします。
彼女は長年、経済的DVを受け、人間としての尊厳を奪われ続けていました。
【ケース】聡子さん(51歳)― 月5万円の「給料」で暮らす日々
夫は自営業で、羽振りは良いはずでした。
でも、私が彼から渡されるのは、毎月5万円だけ。
食費、日用品、子どもの学用品、私のお小遣い、すべてをその中でやりくりしろ、と言われていました。
毎月、月末になるとお金が足りなくなり、頭を下げて追加をお願いするのですが、そのたびに夫は

お前は金遣いが荒い。
どういう使い方をしたら、なくなるんだ!
と何時間も私を問い詰めます。
家計簿を見せても、納得してくれません。
その時間が苦痛で、私は自分の昼食を抜いたり、セール品を求めてスーパーを何軒もはしごしたりして、必死に節約しました。
自分の服なんて、10年以上買っていません。
美容院に行くお金も惜しくて、髪は自分で切っていました。
ママ友とのランチも、「お金がないから」と断り続け、だんだん誘われなくなりました。

私は社会から切り離され、どんどん惨めになっていきました。
夫は、自分には自由にお金を使います。
高級な時計を買い、飲み歩き、趣味のゴルフには毎週のように出かけていました。
家の貯金がいくらあるのか、私は全く知りませんでした。
聞いても「お前には関係ない」と一蹴されるだけ。
転機は、息子の大学進学でした。
入学金としてまとまったお金が必要になり、夫にお願いすると、「そんな金はない」と言い放ったのです。
「あれだけ稼いでいるのに、ないわけがない」と食い下がると、彼は開き直りました。

俺の金だ。どう使おうが俺の勝手だ。
お前も息子も、俺に養ってもらってる寄生虫じゃないか!

「寄生虫」という言葉が、私の胸に突き刺さりました。
私は、家政婦じゃない。
奴隷じゃない。25年間、この家のために、家族のために、自分を犠牲にして尽くしてきたのに。
この人は、私を人間として見ていない。
お金で支配できる、所有物としか思っていないんだ。

そう気づいた時、長年の恐怖心が、燃えるような怒りに変わりました。
もう、この経済的な鎖につながれて生きていくのはごめんだ。
たとえ貧しくても、自分の力で、人間らしく生きたい。そう強く決意しました。
離婚原因第4位:家庭を顧みない
「仕事が忙しい」を免罪符に、育児や家事をすべて妻に丸投げする夫。
子どもの成長に無関心で、休日は自分の趣味や休息を優先する。
これは深刻な問題です。
妻は、24時間365日休みのない「ワンオペ育児」と無数の家事に追われ、心身ともにすり減っていきます。
それは単なる「非協力」ではありません。
家庭を共同経営すべき「パートナー」としての責任を放棄する、重大な裏切り行為です。
・〇〇ちゃんのママ
・〇〇さんの奥さん
いつからか、自分の名前で呼ばれることが少なくなった。
自分の時間はすべて、子どもの世話、夫のサポート、親の介護に消えていく。
自分の好きだったこと、やりたかった夢、そんなものは、もう思い出せないくらい遠い昔のこと。
特に、子育てが一段落した「空の巣症候群(エンプティネスト)」や、親の介護が始まったとき、この感覚は強く襲ってきます。
「母親」「妻」「娘」という役割が、自分のすべてになっていたことに、突然気づかされるのです。
そして、その役割が一つ、また一つと変化していく中で、「じゃあ、『私』って、一体何者なんだろう?」という問いに、答えられなくなってしまう。

夫は家族の一員ではないのでしょうか?
涙ながらにそう語った真央さんのケースは、決して特別な話ではありません。
私が日々お受けするご相談の中でも、非常に多いパターンです。
【ケース】真央さん(38歳)― 「ありがとう」の一言もない地獄
夫の口癖は

俺は外で稼いでるんだから、家のことはお前の仕事だろ?
でした。
彼は、子どもが生まれてから一度も、オムツを替えたことも、お風呂に入れたことも、寝かしつけたこともありません。
私がインフルエンザで40度の熱を出して寝込んでいた時も、彼は「大丈夫?」の一言もなく、自分でカップラーメンを食べると、さっさと寝室に行ってしまいました。
私は、ふらふらの体で幼い子どもの世話をし、泣きながら夜を明かしました。
子どもの誕生日も、運動会も、彼は「仕事の付き合い」を優先します。
たまに家にいても、ソファでスマホをいじっているだけ。
子どもが「パパ、遊んで」と駆け寄っても、「うるさいな、あっち行ってろ」と邪険に扱う。

私は、夫にとって何なんだろう。
食事と身の回りの世話をする、都合のいい家政婦?
子どもを産んで育てるための、道具?
そこに、愛情や、感謝や、労りの気持ちは、ひとかけらも存在しませんでした。
ある夜、夜泣きする子どもを抱いてリビングに行くと、夫がソファで気持ちよさそうに寝ているのが見えました。

その平和な寝顔を見た瞬間、私の中で何かがプツンと切れました。
・なぜ、私だけがこんなに苦しい思いをしなくちゃいけないの?
・なぜ、この人は、父親としての責任も、夫としての優しさも、何一つ果たそうとしないの?
この人は、家族じゃない。
ただの同居人だ。
ただ私から搾取するだけの存在だ。
そう思ったら、もう彼の顔を見ることさえ耐えられなくなりました。
私は、この子と二人で、温かい家庭を築き直そう。
この冷たい家から、一刻も早く脱出しよう。
夜が明けるのを待って、私は荷物をまとめ始めました。

離婚原因第5位:異性関係(不倫)
不倫は、単なる「裏切り」という言葉では片付けられない、魂の殺人にも等しい行為です。
それは、夫婦が長い年月をかけて築き上げてきた信頼関係、愛情、そして家族の歴史そのものを、一瞬で破壊します。
信じていたパートナーに裏切られた心の傷は、想像を絶するほど深く、長く被害者を苦しめます。
フラッシュバック、人間不信、自己肯定感の崩壊。
たとえ相手が謝罪し、関係を清算したとしても、一度壊れた信頼を取り戻すことは、ほとんど不可能に近いのです。
不倫問題でご相談に来られる方々の多くが、彩さんと同じように「再構築」の道を選び、そして、その道が想像以上の地獄であったと語ります。
彼女の体験談は、その現実を生々しく物語っています。
【ケース】彩さん(45歳)― 「再構築」という名の地獄
夫の不倫が発覚したのは、彼のスマホの通知を偶然見てしまったからでした。

相手は、会社の部下の女性。二人のやり取りは、私が知らない夫の顔で溢れていました。
・愛してる
・早く会いたい
・妻とはもう終わってる
世界が、足元から崩れ落ちるようでした。
問い詰めると、夫は泣いて土下座し、

魔が差しただけだ。もう二度と会わない。本当に大切なのは君と子どもたちだ
と謝罪しました。

私は、子どものために、そしてまだどこかに残っていた彼への情のために、「再構築」という道を選びました。
でも、それが本当の地獄の始まりでした。
夫が会社に行っている間も、「また会っているんじゃないか」。
飲み会で帰りが遅くなれば、「彼女といるに違いない」。
夫のスマホが鳴るたびに、心臓が凍りつきます。
私は、疑心暗鬼という名の牢獄に、自分自身で鍵をかけてしまったのです。
夫は、そんな私にだんだん苛立つようになりました。
「いつまで根に持ってるんだ」「もう終わった話だろう」「俺だって努力してるんだ!」と。
彼は、自分が犯した罪の重さを、全く理解していませんでした。
謝れば、時間が経てば、すべてが元通りになると思っていたのです。
ある日、夫が「もう疲れた。お前のそのヒステリーに付き合うのは限界だ」と言い放ちました。

その言葉を聞いて、私は悟りました。
ああ、この人は、私を傷つけたことへの罪悪感よりも、私が苦しんでいる姿を見ることへの「面倒くささ」しか感じていないんだ、と。
壊したのはあなたなのに、なぜ私が「許す努力」をしなければならないの?
傷つけられた私が、なぜ加害者の顔色をうかがって生きなければならないの?
再構築なんて、幻想だった。
壊れた皿は、どんなに接着剤でくっつけても、元の姿には戻らない。
ひび割れは、永遠に残り続ける。
そのひび割れた皿を毎日見ながら、偽りの食卓を囲むなんて、もう私にはできませんでした。
子どものために、と自分に言い聞かせてきたけれど、笑顔のない母親のそばにいることこそが、子どもにとって一番の不幸だ。
そう気づき、私は離婚届を取り寄せました。

さいごに
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
たぶん今、あなたの胸の中には
・当てはまるところがあった
・でも、離婚って言葉にすると大げさな気がする
そんな、相反する気持ちが同居しているんじゃないでしょうか。
相談に来られる方の多くが、最初にこう言います。
・子どもが完全に独立すれば、自分の時間ができるはず
・夫が定年したら、もう少し優しくなるかもしれない
・もう少し我慢すれば、きっと状況は良くなるはず

本当に、そうでしょうか?
その「いつか」は、何もしなければ、たぶん来ません。
あなたのその虚しさは、時間が解決してくれる類のものではありません。
それを見ないフリして、毎日をやり過ごしていくと、これからもっと辛くなっていくだけです。
あなたが耐えて成立している平和は、あなたの努力の上に乗っているだけです。
そして、その努力が長く続くほど、人は自分の感覚を疑うようになります。

これくらいでつらいなんて私が贅沢なのかな?
そうやって気持ちを押し込める癖がつくと、ある日ふいに、もう何がつらいのか説明できない状態になります。
笑えなくなって、何も感じなくなって、ただ息をしているだけの日々が続く。
10年後、20年後、人生の最終章を迎えるときに、心の底からこう思う日が来てしまうかもしれない。
「私の人生、本当に、何にもなかったな」って。
そんなの、悲しすぎませんか。
あなたは、そんな人生を送るために生まれてきたんじゃない。絶対に。
だから、あなたにできる、一番簡単で、でも一番効果のある「最初の一歩」を、お伝えします。
それは、「話す」こと。
それも、「プロに」話すことです。

まだ離婚を決めてないのに、相談していいの?
この質問を、私は何度も受けてきました。
答えは、はっきりしています。

決めていない今こそ、一番意味があります。
なぜなら、迷っているあなたが一番苦しいのは、「結論が出ていないこと」そのものより、見通しがなくて怖いことだからです。
たとえば、
・もし別居したら生活費はどうなるのか
・離婚した場合、財産はどう分けられるのか
・年金はどうなるのか
・仕事を始めるなら、何を優先すべきか
・そもそも離婚せず関係を変える道はあるのか
こういう「現実の輪郭」が見えてくるだけで、人は驚くほど落ち着きます。
離婚へ向かうためではなく、あなたが選べる状態になるために相談する。
それが本来の使い方です。
相談したからといって、離婚しなければならないわけではありません。
むしろ、選択肢が整理されるほど「離婚しない」という決断も、前より健全になります。
もし「このままじゃ苦しい気がする」が消えないなら、一度、話しに来てください。
あなたがあなたの人生を取り戻すために、整理する時間を一緒に作ります。
あなたのこれからが、誰かのための人生だけで終わらないように。
心から、そう願っています。

