性格の不一致を理由にいきなりを離婚をつきつけられた場合、どうすればいいの?
弁護士の石井政成です。
年間、100件以上離婚についての相談を受けております。
相談の中で、いきなり離婚といわれてどうしたらいいかわからないという方が多くいらっしゃいます。
そこで、性格の不一致を理由に離婚を主張されている方のエピソードを交えて、どう対処するべきなのかをみていきます。
妻からの離婚の通知
望(のぞむ)(仮名)さんは、30歳の頃に今の妻、リナさん(仮名)と出会いました。彼女は望さんが通っていたフィットネスクラブでインストラクターとして働いており、彼の健康的なライフスタイルに共感し合ったことが二人の距離を縮めました。お互いの趣味が一致し、共に登山に出かけるなどのアクティビティを楽しむ中で、次第に愛情が深まっていきました。2年後に結婚を決意し、結婚式を挙げました。リナさんは社交的で明るく、望さんは仕事に対する真面目さと責任感で支え合う良いパートナーシップを築けると感じていました。
結婚後、望さんとリナさんは順調な生活を送り始めました。望さんはIT企業でプロジェクトマネージャーとして働き、リナさんはフィットネスクラブでのインストラクターの仕事を続けました。やがて二人の間に息子が生まれました。
しかし、リナさんは事あるごとに、このようなやり方は違う、この感覚はおかしいと望さんに述べ、喧嘩が絶えなくなりました。
リナさんは事あるごとに、価値観が違って辛いと望さんに述べておりました。
望さんがいつものように仕事から帰宅したある日、家の中が異様に静かであることに気付きました。リビングに入ると、家具や家電の一部がなくなっており、妻のリナさんと息子の姿が見当たりません。動揺した望さんは家中を探しましたが、二人の姿はどこにもありませんでした。携帯電話を確認すると、リナさんからのメッセージがありました。
「もう限界です。私たちは別の場所で暮らします。5歳の息子のことは心配しないでください。」
望さんはすぐにリナさんに電話をかけましたが、彼女は応答せず、ラインにも返信がありませんでした。
望さんはどうするかを検討して数日が経ちました。そうしたところ、家にリナさんの代理人という弁護士から受任通知書が到着したのです。
受任通知書には、①今後、自分が要求することをすることができず、家族に協力できないことを理由に離婚をしたいこと、②親権についてはこちらが取得すること、③慰謝料として100万円を要求すること、④婚姻費用として毎月15万円を要求することが記載しておりました。
望さんはどうしていいかわからず、インターネットで検索をして弁護士に電話をしました。話したら、なんとなく話が合いそうでしたので、そのまま日程調整をして面談をすることにしました。
弁護士による回答
① 性格の不一致で離婚が認められるか
離婚をすることができるのでしょうか。
リナさんは、望さんに対して、いわゆる性格の不一致での離婚を求めているようです。
性格の不一致は、令和2年度婚姻関係事件数申立ての動機別申立人別全家庭裁判所司法統計によれば、もっとも多い離婚の動機であるといえます。
そのため、これを理由に多くの離婚が認められるように思います。
しかし、弁護士からはこれだけを理由に離婚をすることはできないという回答がでました。
性格の不一致は価値観という良い悪いを判断することができない考えであるため、それを裁判所が認めることができないからということが理由です。
多くの方は、他の理由で離婚が決定的になるとのことでした。
もっとも、別居を続けるにつれて、最終的には離婚をする可能性が高い。
そのため、それに備えていくのがいいのではとのことでした。
そのため、望さんは、すぐに離婚をしなければならないわけではないということを聴いて、少し安心しました。
② 性格の不一致で親権が認められるか
望さんは親権を取得したいと考えております。
しかし、弁護士からは親権は難しいのではないかという回答が出ました。
理由は母親が強いということではなく、現在の監護者が母親であることが重要視されるためということでした。
これまで、主に母親であるリナさんが息子を監護していたこともあり、それは納得せざるを得ないと望さんは考えました。
なお、面会交流を実施しようというアドバイスの下、面会交流を相手に求めるようにしました。
③ 性格の不一致で慰謝料が認められるか
望さんが性格の不一致を理由とした慰謝料の支払いをしなければならないのでしょうか。
弁護士からは、性格の不一致が理由での慰謝料は認められないことが多いとのことでした。
そのため、望さんは、性格の不一致を理由ということでは支払わなくていいと安心したのです。
④ 性格の不一致で婚姻費用は影響するのか
弁護士から、性格の不一致といったことを理由に婚姻費用が変動することはないとの回答を受けました。
望さんとリナさんの収入から考えれば、婚姻費用はもっと少ないはずであるとのことで、その金額を支払うこととしました。
その後のこと
望さんは不安で押し潰されそうな状況でしたが、弁護士に自分の話ができたことで、とても安心できたようです。
今後のことについて、冷静に考えるためにも、望さんは手続を弁護士に依頼することとしました。
望さんは、今後離婚をすることについてまだ決めかねているところではありますが、ゆっくりと考えていくとのことでした。
最後に
性格の不一致があった場合の事例を、実際にあったかのように記載しましたがいかがでしたでしょうか?
急な離婚請求により、どうしていいかを悩んでいる方は弁護士に相談をすると、その悩みが解決できるかもしれません。
一度ご連絡をするのはいかがでしょうか?
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