弁護士の石井です。
この度は、数あるブログの中から「ココステップ」へお越しいただき、本当にありがとうございます。
今回はタイトルの通り、「相手が離婚に同意しなくても離婚できるのか?」について詳しく解説していきます。
- 「離婚したい」と伝えても、夫は「絶対に同意しない」と聞く耳を持ってくれない。
- 話し合いをしようとしても、無視されたり、はぐらかされたり

相手が同意してくれなければ、離婚はできないんだ、、、
そんな風に、出口のないトンネルの中で、一人で途方に暮れていませんか。
長年のすれ違いや、感謝されることのない毎日に、あなたの心はもう限界寸前。
それなのに、相手の「NO」という一言で、自分の人生を選び直すことすら諦めなければならないのでしょうか。
いえ、そんなことはありません。
この記事は、相手の同意がなくてもご自身の人生を取り戻すための道がある、ということを知っていただくためのお話です。
法律というと、冷たくて難しいイメージがあるかもしれません。
でも、あなたのその切実な「もう限界」という気持ちに、法律はちゃんと光を当ててくれます。
少しだけお付き合いください。
まず、何よりも先にお伝えしたい大切なことがあります。
それは、日本では、相手が離婚に同意しなくても、最終的に離婚することは可能だということです。
もちろん、一番スムーズなのは、夫婦がお互いに話し合って合意し、離婚届を提出する「協議離婚」です。
しかし、相手がどうしても同意しない場合、家庭裁判所での手続きを経て、離婚を成立させる道が、法律でちゃんと用意されています。

「裁判」と聞くと、とても大げさに感じてしまいますよね。
でも、これは、話し合いで解決できない人のために国が用意した、最後の、そして正当な手段なんです。
あなたが「もう一緒にいられない」と感じる切実な想いを、相手の一存だけで封じ込めることはできません。
では、裁判所はどのような場合に「離婚を認める」のでしょうか。
その鍵となるのが、法律で定められた「離婚原因」です。
2 あなたの「もう限界」という気持ち。それは法律上の「理由」になります
法律で定められた離婚原因はいくつかありますが、一番知ってほしいのが、「婚姻を継続し難い重大な事由」というものです。
大切なのは、これらのどれか一つが「あった・なかった」ということだけではありません。

あなたの結婚生活全体の歴史の中で、様々な出来事が積み重なった結果として、「もう夫婦としてやっていくのは無理だ」という状態になっていることが重要なのです。
3 法律ではっきりと定められているその他の離婚理由
ここまでは、あなたの「もう限界」というお気持ちに焦点を当ててきました。
それ以外にも、法律が「これは明確な離婚理由になります」とはっきりと定めているケースがありますので、それらを紹介していきます。
3-1 パートナーによる裏切り(不貞行為)
いわゆる「不倫」や「浮気」のことです。
法律では、配偶者以外の人と性的な関係を持つことを「不貞行為(ふていこうい)」と呼び、夫婦の信頼関係を根底から壊す行為として、離婚が認められる非常に強い理由となります。
例えそれが過去の不貞行為であっても、それが原因で夫婦関係が修復不可能なほどに壊れてしまったのであれば、離婚の理由として主張できる可能性は十分にあります。

「一度許したから、もう言えない」と、ご自身の気持ちに無理に蓋をする必要はありません。
また、「肉体関係はないけれど、特定の相手と二人きりで頻繁に会ったり、親密なメッセージを送り合っている」という場合。
これ自体は「不貞行為」とまでは言えなくても、夫婦の信頼を裏切る行為として、先ほどお話しした「婚姻を継続し難い重大な事由」の一部と見なされることは少なくありません。
あなたの心が深く傷ついた、その事実が無駄になることはないのです。
3-2 家庭を顧みない(悪意の遺棄)
なんだか難しい言葉ですが、これは、正当な理由もないのに、夫婦として当たり前にすべき協力を全くしない状態を指します。
最も分かりやすいのは、以下のようなケースです。
・生活費をまったく渡さない(経済的DV)
・一方的に家を出て、帰ってこない
たとえ同じ家に住んでいたとしても、相手が家事や育児に一切協力せず、家庭を顧みない。
病気で苦しんでいても看病すらせず、まるで同居人のように振る舞う。
そうした行為も、その程度によっては「悪意の遺棄」に近い、夫婦関係を破綻させる重大な行為と見なされることがあります。

「お前が出ていかせたんだ」「お前のせいで帰りたくない」などと、相手から責任転嫁されている方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、大切なのは、客観的に見て、相手が夫婦としての責任を放棄しているかどうかです。
あなたがご自身を責める必要は全くありません。
3-3 その他の特別なケース
これらは非常に稀なケースですが、法律で定められているものとしてご紹介します。
特別なケース | 概要 |
---|---|
3年以上の生死不明 | 単に連絡が取れない、行方が分からないというだけでなく、警察に捜索願を出しても手がかりがなく、「生きているか、亡くなっているかさえも分からない状態」が3年以上続いている場合です。 |
回復の見込みのない強度の精神病 | これは、非常に慎重に判断される、デリケートな問題です。 決して、パートナーが病気になったからといって、簡単に見捨てていいというものでは全くありません。 様々な事情を考慮した上で、「これ以上婚姻を継続させるのは、双方にとってあまりにも酷である」と判断される、本当に最後の手段のようなケースです。 パートナーの病気で苦しんでいる方が、ご自身を責めてしまうのは、とてもお辛いことです。 ですが、あなたが共倒れになってしまっては、元も子もありません。そうした状況に対する、法的な救済措置の一つだとご理解ください。 |
4 さいごに
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
相手が「離婚しない」と言い張っていても、あなたの心が壊れてしまう前に、選べる道があることを、少しでも感じていただけたでしょうか。
法律や裁判は、決してあなたを追い詰めるものではありません。
むしろ、話し合いの通じない相手からあなたを守り、あなたが自分らしい人生を取り戻すための一歩を後押ししてくれる、心強い味方にもなり得るのです。

「離婚しない」という相手の言葉は、まるであなたを縛り付ける鎖のように、重く感じられることと思います。しかし、その鎖は、断ち切ることができるのです!
まずは、あなたがこれまで抱えてきた想いを、誰かに話してみませんか。
あなたの「もう限界」という気持ちを、決して「わがまま」だと否定せず、受け止めてくれる場所が、ここにあります。
あなたの心が、これ以上傷つくことのないように。
私がお手伝いできれば幸いです。