離婚後の住まいはどうする?パートでも賃貸は借りられる?

離婚後の住まいを考える女性と「離婚後の住まい パートでも借りられる?」の文字

「離婚したら、私はどこに住めばいいんだろう」「パートの収入で部屋を借りられるのかな」

実家には戻れない。保証人を頼める人も思い浮かばない。そんな状況では、離婚するかどうかを考える前に、住まいの不安で立ち止まってしまうかもしれません。

パートだからという理由だけで、住まいの可能性をゼロと決めつける必要はありません。ただし、「借りられるか」と「無理なく家賃を払い続けられるか」は、分けて確認することが大切です。

この記事では40代・50代女性に向けて、賃貸を探す前の準備と、UR・公営住宅・居住支援などの選択肢を整理します。子どもがいない方、子どもが独立した方、まだ離婚を決めていない方も、ご自身の住まいを考える材料にしてください。

暴力や脅しがあり、身の危険を感じる場合は、安全確保を優先してください。部屋探しや書類集めが終わるまで、危険な場所にとどまる必要はありません。緊急時は警察へ、避難先を含む相談はDV相談ナビ(#8008)などの窓口へ連絡してください。DV相談ナビの受付時間は接続先の機関によります。

最初に「いつから・誰と・どのくらい住むか」を整理しましょう

物件を探す前に、今必要なのが「別居中の住まい」なのか、「離婚後も暮らす住まい」なのかを分けて考えてみましょう。すぐに離れる必要がある場合の一時的な滞在先と、長く住む部屋は、同じでなくてもかまいません。

一人暮らしか、子どもと暮らすのか。通勤・通学や通院を続けられる地域はどこか。引越しを希望する時期はいつか。この3つを書き出すだけでも、探す条件を絞れます。

まだ別居も離婚も決めていないなら、まず家賃や入居条件を調べるだけでも十分です。情報を集めることと、契約すること、離婚に同意することは、それぞれ別の段階です。

お金や子どものことも含めた準備は、離婚前に別居を考えるときの準備と注意点で整理しています。

離婚後の住まいには、どんな選択肢がある?

実家に戻る方法だけを前提にしなくてもかまいません。候補ごとに、申込み条件・費用・入居時期を比べてみましょう。

選択肢先に確認すること
民間の賃貸希望物件の申込み条件、必要書類、保証会社の利用条件、初期費用と毎月の総額。
UR賃貸住宅希望地域の空室、収入などの申込み資格、必要書類。保証人が不要でも、入居条件がなくなるわけではありません。
公営住宅自治体ごとの世帯・所得・居住等の要件、募集時期、入居までの見通し。申込みと入居決定は別です。
実家や親族宅受け入れが可能か、期間、生活費の分担、仕事との距離。無償で住めると決めつけず相談します。
今の家に住み続ける持ち家なら所有者・ローン・維持費、賃貸なら契約者・契約条件。夫婦間の話合いだけで判断せず、関係する契約も確認します。

家賃が低く見える物件でも、交通費が増えたり、通勤が難しくなったりすれば、負担は変わります。「家賃だけで安い順」ではなく、暮らしを続けられる条件で比べることをおすすめします。

パート収入で賃貸を探すときに、確認したい4つのこと

賃貸の申込み条件や判断は、物件・貸主・保証会社などによって異なります。「パートだから絶対に借りられない」「貯金があるから必ず通る」と一律に判断せず、希望に合う物件の条件を具体的に確認しましょう。

1.収入と勤務状況を説明できる資料

最近の給与明細や源泉徴収票など、現在の収入が分かる資料を手元で確認します。働き始めたばかり、勤務時間を増やす予定があるなどの場合は、提出できる書類を不動産会社へ尋ねてください。

ここで挙げるのは準備する資料の候補です。必要書類は申込先ごとに異なるため、先に一覧をもらうと無駄がありません。仕事や収入を実際より多く申告したり、他人の名義で申し込んだりする方法は避けましょう。

2.初期費用と入居後に残せる資金

申込み時には、初期費用を払えるかだけでなく、支払後に生活資金がどれだけ残るかも確認します。家賃・引越し代・家具代を払った後に、食費や医療費が残らない計画では安心して暮らせません。

貯蓄で申込みを検討できるか、残高を確認する書類が必要かは、申込先へ確認してください。今後受け取れるかもしれない財産分与などは、金額や入金時期が未確定なら、すでに使えるお金と分けて考えます。

3.保証人・保証会社・緊急連絡先の条件

保証人を頼める人がいない場合は、「保証会社を利用できるか」「その場合も連帯保証人が必要か」「緊急連絡先にはどんな条件があるか」を確認します。これらは同じものではないため、一つずつ尋ねることが大切です。

保証料がある場合は初回分だけでなく、継続利用にかかる費用も見積りに含めてもらいましょう。UR賃貸住宅は契約時の保証人が不要と案内していますが、申込み資格は別途確認が必要です。

4.不動産会社へ最初に伝える内容

うまく説明しようとしすぎず、収入・予算・入居人数・時期など、部屋探しに必要な条件から伝えてみましょう。

問い合わせの例

「自分名義で住む部屋を探しています。現在はパート勤務で、手取りは月○万円です。管理費などを含めて月○万円まで、初期費用は○万円までで考えています。保証人を頼める人がいないのですが、検討できる物件と必要書類を教えてください」

事情を伝える際にも、家族関係の詳細や不要な個人情報まで最初から提出する必要はありません。書類を求められたら、提出先・目的・必要な範囲を確認してください。安全上の事情がある場合は、連絡方法についても先に相談しましょう。

電卓とノートで住まいの費用を整理する女性
物件の条件と、自分が無理なく払える金額を分けて整理してみましょう。

「入居できる家賃」より「払い続けられる住居費」で考える

「収入の何割までなら大丈夫」という目安だけで決めず、食費、光熱費、通信費、保険料、税金、医療費などを支払った後に、住居費へいくら回せるかを考えます。

パート収入が月によって変わるなら、働ける時間が多かった月だけで計算せず、収入が少ない月も想定してみましょう。まとまった支払いに備えるお金も、別に残しておきたいところです。

分けて確認見積りに入れる項目
契約・引越し時敷金・礼金・仲介手数料の有無、前家賃、初回保証料、保険料、引越し、最低限の家具家電など。実際に必要な項目を見積書で確認します。
毎月家賃、管理費・共益費、必要な駐車場代、月額の保証料など。住居費とは別に、光熱費や通信費も家計へ入れます。
後から必要になる費用更新料の有無、保証・保険の更新費用、退去時の条件など。契約ごとに確認します。

例えば候補AとBを比較するときは、「初期費用の総額」「毎月の総額」「一定期間でかかる費用」を同じ項目で並べます。これは家賃相場ではなく、ご自身の見積りを比べるための方法です。

家計全体の整理は50代からの一人暮らしと離婚後の生活費、収入面の不安はパート収入で離婚後の生活を考える記事も参考にしてください。

UR・公営住宅・居住支援は、どう違うのでしょうか

URは保証人不要。ただし収入などの条件があります

URには申込者の収入等に関する基準があります。基準月収を満たさない場合でも、貯蓄基準制度や家賃等の一時払い制度などを利用して、収入要件に代えられる場合があります。

ただし、別の制度を利用するにも条件があり、ほかの申込み資格まで免除されるわけではありません。一時払いができても、その後の生活資金が足りるかは別問題です。URの申込み資格と必要書類を確認し、ご自身の収入・資金状況で使える制度を店舗へ尋ねてください。

公営住宅は、40代・50代の単身者なら誰でも申し込めるわけではありません

都営・市営などの公営住宅には、所得、世帯構成、居住状況などの要件があり、募集区分によっても違いがあります。例えば東京都の都営住宅の入居資格では、単身者向について60歳以上など一定の条件が示されています。

これは東京都の例であり、全国共通の年齢条件ではありません。「離婚した女性だから入れる」「子どもが独立した後もひとり親向けの条件に当てはまる」とは考えず、希望する自治体の最新の募集案内で確認しましょう。

申込みができても、すぐに入居できるとは限りません。引越し期限がある場合は、募集時期や入居までの見通しも確認し、ほかの住まいと並行して検討します。

居住支援法人などへ、住まい探し自体を相談する方法もあります

居住支援法人は、低額所得者など住まいの確保に配慮が必要な方に対し、住宅情報の提供や入居に関する相談などを行う仕組みです。

ただし、すべての法人が同じ地域・対象者・業務を扱うわけではありません。宮城県の制度案内でも、支援地域や対象を限定している場合があると説明されています。

お住まいの自治体の住宅・福祉窓口などで、「収入と保証人の面で住まい探しに困っている。相談できる居住支援の窓口はあるか」と尋ねてみてください。支援の内容、費用の有無、紹介可能な地域を確認しましょう。相談したこと自体が、家賃補助や入居の保証になるわけではありません。

家を出る前に、住まいとお金の約束を確認したい場面

新しい部屋を借りる準備と並行して、今の家をどう扱うかも確認しておきたいところです。ただし、身の危険がある場合は、これらの整理より安全確保を優先してください。

今の家に住み続ける場合

持ち家なら所有名義、住宅ローンの契約者・残額・返済予定、維持費などを整理します。賃貸なら契約者、名義変更や契約の継続について、契約書を確認したうえで管理会社等に尋ねます。

「夫が払うと言っているから大丈夫」「自分が住むから名義も変えられる」と決めつけず、必要な手続や費用を確認しましょう。夫婦間の約束と、金融機関・貸主との契約は、分けて確認する必要があります。判断が難しい場合は、資料を持って法律相談で整理してください。

別居中の生活費を考える場合

離婚前の別居中には、夫婦の生活費等をどう分担するかという「婚姻費用」の問題があります。話合いがまとまらない、または話合いができない場合には、家庭裁判所へ調停や審判を申し立てる手続があります。

ただし、希望する家賃がそのまま全額支払われる、申立て直後に入金されるとは限りません。実際に使える資金と、今後請求・協議するお金を分けて計画してください。手続の概要は裁判所の婚姻費用の分担請求調停で確認できます。

未成年の子どもがいる場合は、転居や生活場所の調整についても個別の確認が必要です。「先に契約すれば全部決まる」と考えず、家庭の事情に応じて相談してください。

明るい賃貸住宅の窓辺に立つ40代から50代の女性
住まいを調べることは、離婚を決めることではありません。今の自分に選べる方法を確かめる準備です。

今日できることは、条件を一枚にまとめて、一か所へ確認すること

最初から住まいも仕事も離婚条件も、すべて決める必要はありません。まずは次の順番で進めてみましょう。

  1. 住まいの条件を一枚に書く。入居人数、希望地域、時期、月額の上限、初期費用の上限、保証人の見込みを整理します。
  2. 候補を二つほど探す。民間賃貸、UR、条件に合う公営住宅などから、今の自分が具体的に確認できる候補を選びます。
  3. 申込み条件と総額を尋ねる。不動産会社やURの店舗などへ、必要書類と見積りを確認します。住まい探し自体が難しい場合は自治体の窓口へ相談します。

仕事の見通しが立たないことが大きな不安なら、40代・50代女性の再就職・キャリアを考える記事も参考にしてください。住宅探しの記事だけで、すべてを解決しようとしなくて大丈夫です。

よくある質問

Q.離婚が決まっていなくても、部屋を探していいですか?

家賃や申込み条件を調べる段階から始めてかまいません。実際に契約・転居する際には、費用、今の住まいの契約、子どもの生活などを分けて確認しましょう。

Q.保証人を頼める人がいないと、賃貸は難しいですか?

保証会社を利用する物件や、保証人が不要とされるURなど、確認できる選択肢はあります。ただし、保証会社の条件や緊急連絡先、収入等の申込み資格は別に確認してください。

Q.子どもがいない50代女性でも、公営住宅や居住支援を使えますか?

一律には判断できません。公営住宅は自治体の募集要件、居住支援は対象者・地域・支援内容を確認します。ひとり親向けの制度が使えないことだけで、ほかの相談先もないと決めつける必要はありません。

まとめ|「住める場所がない」と決める前に、条件を確認してみましょう

住まいの不安を整理するときは、入居の条件と、暮らしを続けられる予算を分けることが出発点です。パート収入、保証人、実家に頼れない事情なども、相談先へ確認するための具体的な条件に置き換えてみましょう。

一方で、「必ず借りられる」「支援があるからお金は心配しなくてよい」という話を前提に、契約や転居を急ぐ必要はありません。まだ決まっていないお金や条件を見える形にするだけでも、次に確認すべきことは整理できます。

住まいを調べた結果、今は動かず準備を続けるという判断もあります。離婚するかどうかではなく、「自分の生活をどう守れるか」を考えるための情報として使ってください。

離婚を決めていない段階での法律相談についてもご案内しています。

住まいとお金が不安で、次に進めないと感じたら

離婚相談ココステップでは、弁護士 石井政成が、別居中の生活費、財産分与、今の家の扱いなど、法律に関わる確認事項を一緒に整理します。

法律相談は賃貸の入居を保証するものではありません。「何を確認してから動けばよいか」を考えるために、まだ離婚を決めていない段階でもご相談いただけます。

制度情報の確認日:2026年9月28日。申込み資格や募集内容は変更されることがあります。実際の申込み時は、各窓口の最新案内をご確認ください。